学生が確認する4つの扶養
学生の収入で混乱しやすい理由は、「扶養」という言葉が複数の制度で使われているためです。
同じ「扶養」でも、判定する人、判定する金額、超えたときの影響が違います。
- 本人の所得税:学生本人に所得税がかかるかどうかを判定する。
- 親の扶養控除:親が扶養控除を受けられるかどうかを判定する。
- 健康保険の扶養:親の健康保険に被扶養者として入れるかどうかを判定する。
- 勤務先の家族手当:親の勤務先が家族手当を支給するかどうかを判定する。
そのため、「103万円を超えなければ何も問題ない」や「103万円を超えたら必ず大損する」とは言えません。
2026年時点では、本人の税金と親の税金を分けて見る必要があります。
本人の所得税は103万円だけで決まらない
アルバイト収入は、通常は給与所得として扱われます。
給与所得では、収入から給与所得控除を差し引いた金額が所得になります。
令和7年度税制改正により、給与所得控除の最低保障額は65万円に引き上げられ、合計所得金額が132万円以下の人の基礎控除は95万円になりました。
給与収入だけの学生であれば、本人の所得税は「103万円の壁」だけで説明できません。
ただし、年の途中の源泉徴収や年末調整の手続きでは勤務先の処理が関係します。
給与明細で所得税が引かれている場合は、年末調整や確定申告で精算されることがあります。
親の扶養控除は別に判定する
親の税金に関係するのは、学生本人の所得税ではなく、親が扶養控除を受けられるかどうかです。
扶養控除の対象になる親族は、その年の12月31日時点で生計を一にしていることなどの要件を満たす必要があります。
令和7年分からは、扶養親族の合計所得金額の要件が58万円以下になりました。
給与収入だけで考えると、給与所得控除65万円を差し引けるため、目安は年収123万円以下です。
この金額を超えると、親が従来どおりの扶養控除を受けられない可能性があります。
学生が19歳以上23歳未満の場合は、特定扶養親族や特定親族特別控除の扱いも関係します。
この年代では、学生の所得が一定範囲にあると、親が特定親族特別控除を受けられる場合があります。
健康保険の扶養は税金とは別の制度
健康保険の扶養は、所得税や扶養控除とは別に判定されます。
一般に、親の健康保険の被扶養者でいるには、今後の年間収入見込みが130万円未満かどうかが確認されます。
ただし、判定方法は加入している健康保険組合や協会けんぽの取り扱いで確認する必要があります。
学生本人がアルバイト先の社会保険に入るかどうかも、勤務時間や勤務先の規模によって変わります。
厚生労働省は、短時間労働者の被用者保険について、2025年の年金制度改正により賃金要件や企業規模要件を段階的に見直すと説明しています。
学生は短時間労働者の被用者保険の加入対象外とされる扱いがありますが、夜間学生や休学中など例外的な扱いが関係する場合は勤務先に確認してください。
給与以外の収入は所得で見る
ブログ収入、動画収入、クラウドソーシング、Uber Eatsなどの配達報酬は、給与ではなく雑所得や事業所得になることがあります。
給与でなければ、給与所得控除は使えません。
収入から必要経費を差し引いた金額が所得になります。
たとえば配達報酬が50万円で必要経費が10万円なら、所得は40万円です。
給与収入と給与以外の所得が混ざる場合は、それぞれの所得を計算してから合計します。
この違いを見落とすと、収入額だけを見て扶養や申告の要否を誤ることがあります。
収入が増えそうな学生の確認手順
アルバイト収入が増えそうな学生は、年末に慌てて調整するより、勤務シフトが増える前に確認するほうが安全です。
- 今年1月から12月までの給与収入見込みを合計する。
- 給与以外の収入がある場合は、必要経費を差し引いた所得を見積もる。
- 親に、勤務先の家族手当や扶養手当の条件を確認してもらう。
- 親の健康保険の被扶養者条件を確認する。
- 勤務先に、年末調整と源泉徴収票の扱いを確認する。
制度上の扶養だけでなく、親の勤務先の手当が外れるかどうかも家計に影響します。
勤務先の手当は法律上の扶養控除と同じ条件とは限らないため、就業規則や人事部門で確認する必要があります。
よくある質問
複数のアルバイト先がある場合はどうするか
給与収入は、1年間に受け取った分を勤務先ごとに分けず合計します。
年末調整は通常1か所の勤務先で行い、ほかの勤務先の給与がある場合は確定申告が必要になることがあります。
親に言わなければ扶養のままでいられるか
扶養控除や健康保険の扶養は、事実に基づいて判定されます。
収入を伝えないままにすると、後から税金や保険の手続きが必要になることがあります。
年収が目安を超えそうなときは、早めに親と勤務先へ確認してください。
103万円という言葉はもう使えないのか
「103万円の壁」は、古い制度説明として今も見聞きする言葉です。
しかし、2026年時点の記事では、その数字だけを結論にするわけにはいきません。
本人の所得税、親の扶養控除、健康保険、勤務先の手当を分けて確認する必要があります。